商船三井と日立、中古船を改造した浮体式データセンターの共同開発に着手
商船三井と日立、浮体式データセンターの共同開発を開始
株式会社商船三井、株式会社日立製作所、および株式会社日立システムズの3社は、中古船を改造した浮体式データセンター(FDC)の開発・運用・商用化に向けた基本合意書を締結しました。この合意に基づき、3社は2027年以降の稼働開始を見据え、FDCの需要検証、基本仕様、運用手順の検討、および事業化に向けた検証を進めます。

背景とFDCの必要性
近年、生成AIの急速な普及によりデータセンターの需要が拡大しています。しかし、大規模な用地確保、電力や冷却水資源の確保、周辺インフラ、災害リスクといった課題に直面しており、多様な供給形態が求められています。このような状況に対し、3社は“中古船を改造したFDC”という選択肢に着目しました。
FDCは、大規模な用地が不要で、短期間での建設が可能であり、移設もできるという特徴があります。さらに、既存船体の再利用により、環境負荷とコストの削減が期待されます。

FDCの主なメリット
陸上建屋型データセンターと比較した場合、FDCには複数のメリットがあります。
1. 用地確保と建設期間
都市圏周辺での大規模な土地確保や取得費用が不要です。港湾や河川を利用することで、これまでデータセンターの新規建設が困難だった地域でも展開できる可能性があります。また、FDCの改造工事は約1年で完了し、従来の陸上建屋型データセンター開発と比較して、開発期間を最大3年短縮できる見込みです。
2. 冷却効率と環境負荷
データセンターは大量の電力を消費し、多大な熱を発生させるため、効率的な冷却システムが不可欠です。AI向けの高性能サーバー冷却には水冷式が有効とされていますが、陸上では大量の水が必要となり、地域によっては水不足の懸念が生じています。FDCは、浮体式である特性を活かし、海水や河川の水を効率的に冷却システムに活用でき、電力消費と運用コストの削減に貢献します。
3. 環境負荷と初期投資の削減
中古船を改造することで、原材料の採掘・加工から生じる環境負荷を低減できます。また、既存の船内システム(空調、取水、発電機など)を活用することで、初期投資のコスト削減が見込まれます。
4. 広範なスペースと移設可能性
自動車運搬船のような大型船を改造した場合、約54,000㎡の床面積を有し、これは日本最大級の陸上データセンターに匹敵する広さです。さらに、FDCは浮体式であるため、需要の変化に応じて稼働場所を変更できる柔軟性も持ち合わせています。
各社の役割
本プロジェクトにおいて、各社はそれぞれの専門性と知見を活かします。
- 商船三井: 船舶のデータセンターへの改造計画、港湾当局との調整、係留・保守を含む海上運用に関する検討・評価実績に基づき、船舶改造の企画・推進、港湾当局等との協議主導、海上運用要件整理、資金調達スキーム検討などを担います。
- 日立製作所/日立システムズ: 日本での陸上データセンターの保有・運営、コンテナ型データセンター構築、マレーシアおよび米国における陸上データセンター設備サービス提供の実績を活かし、データセンターの設計・建設・運用の技術検討、ネットワーク・セキュリティ等のITインフラ要件定義、現地知見の活用、顧客要件整理・顧客開拓協力などを担います。
また、日立グループは、社会インフラの課題解決を目指す次世代ソリューション群「HMAX by Hitachi」を展開しており、将来的にFDCの運用高度化・効率化を図るHMAXとして展開することを目指しています。
今後の展望
3社は本MOUに基づき、日立グループが陸上データセンターの運用実績を持つ日本、および陸上データセンター関連サービス提供の実績を持つマレーシアや米国を中心に、2027年以降のFDC稼働開始に向けて具体的な検証を進めていく計画です。
各社の詳細については、以下のリンクをご覧ください。






















