マスクをしている今がチャンス! 歯科医が教える「きれいな歯並び」と「健康的な白い歯」を手に入れる方法
口元のコンプレックス上位は「歯並びの悪さ」と「歯の黄ばみ」
マスクが生活の必需品になってから2年。ワクチン接種が進み、マスクからの解放を期待する声も上がっている一方で、口元にコンプレックスがあるという人の中には、マスクを手放すのが心配という声もあるようです。
医療法人社団健青会が2020年に行った調査では、「歯並びが悪い」「歯の黄ばみ」が口元のコンプレックスとして上位に並びました。
また治療中の見た目を気にする人が多い「歯列矯正」に関して、「マスクで口元が隠れる今こそ矯正のチャンス」と考えている人が6割以上いるという結果も。マスクが手放せない今のうちに、口元のコンプレックスを解消したいという方もいます。
歯列矯正で「きれいな歯並び」を手に入れる
見た目の問題だけではない歯並びの悪さ
見た目の問題で語られることが多い歯列矯正ですが、歯並びの悪さは生活そのものにも悪影響を及ぼします。
例えば、噛み合わせが良くないと食事からの栄養摂取に偏りが生じたり、固い食べ物を避けて柔らかいものばかりを食べるようになってしまったりします。そのうえ、きちんと噛めないことにより満腹感が得られにくく肥満に繋がる恐れもあるのです。
また歯並びが悪いことがコンプレックスとなり、人前で歯を出して笑うことをためらう人も。これらは歯を正しく矯正することによって解消され、本人の性格にも良い影響を及ぼすと言われています。
矯正の種類
矯正には、従来から行われているワイヤーを使用するものと、マウスピースを使用するものがあります。
●ワイヤーを使用した方法
矯正装置(ブレース)とワイヤーを装着して行います。
矯正期間はおおよそ3年と言われ、最初の2年で歯の並びを直し、その後1年ほどかけて歯がもとの位置に戻らないように固定します。
●マウスピースを使用した方法(インビザライン)
オーダーメイドのマウスピースを使って歯並びを整えていきます。
現在の自分の歯並びに合わせた型と、理想の歯並びの型の間をつなぐ何十個ものマウスピースを作成。徐々に理想形に近いマウスピースに付け替えていきます。治療期間はワイヤーを使用した場合とほぼ同じですが、マウスピースを使用するものは、ワイヤーを使用したものと比べて目立ちにくく、近年こちらを選択する人が増えています。
歯並びを悪くしないために今日から注意できること
・歯を舌で押さない
前歯の裏側を舌で押してしまう癖は、繰り返すことで歯を動かしてしまいます。
その結果、前歯が前に出てしまう「出っ歯」や、上下の歯の間が開いた「開咬」という状態に。
・頬杖をつかない
顎骨のゆがみを招き、噛み合わせがずれたり、子供の場合は顎の成長の妨げになったりします。
・口呼吸をしない
口呼吸は常に口が開いているという不自然な状態。
そのため舌や顎の位置が下がってしまうことで歯並びの悪さに繋がってしまいます。
・爪を噛む癖を治す
爪は非常に固いため、噛む際に歯にも強い力が加わることで歯が動いてしまう可能性が。
また歯の先端が削れてしまい、先端ががたがたの歯になってしまいます。
ホワイトニングで「健康的な白い歯」を手に入れる
ホワイトニングの種類
歯を白くするには①歯そのものを白くする方法(ホワイトニング)と②歯を削ってかぶせて白くする方法(ラミネートべニアなど)の大きく2つがあり、特に①歯そのものを白くする方法は、近年急速に普及しています。これは歯の表面に薬剤を塗り、歯を白くするものです。歯そのものを白くするホワイトニングは、歯科医院やクリニックで行うオフィスホワイトニングと、家庭で行うホームホワイトニングに分けられます。
●オフィスホワイトニング
30%以上の過酸化水素を薬剤として用い、歯に薬剤を塗ってライトで照射していく方法。
薬剤の濃度が高いため歯茎を保護しながら施術する必要があります。
1回の診察時間は1~2時間と長くなりますが、1回で確実に歯を白くできるため長期的な時間の確保が難しい方におすすめです。
●ホームホワイトニング
歯科医院やクリニックで型を取り歯並びに合わせて作製したマウスピースの中にジェル状の薬剤を入れたものを使用。自宅で継続的に2時間ほどマウスピースを装着します。
効果はマウスピースを付け始めて約1か月過ぎた頃から表れ始めるため、白さを実感するのに時間はかかりますが、オフィスホワイトニングよりも白さの持続性は高いです。
オフィスホワイトニングの流れ
ホームホワイトニングの流れ
ホワイトニング後の注意点
ホワイトニングは1度行っても、時間が経つと「後戻り」といって再び歯に着色してしまうことがあります。歯の白い状態を維持するためには、次の4つへの注意が必要です。
・ホワイトニング後24時間は、歯に色のつきやすいものを避ける。
例)コーヒー、紅茶、お茶、赤ワイン、カレー、たばこなど
・色がつきそうな飲食物を口にした後はうがいをする。
歯に長時間色がついたままになってしまうと着色に繋がるため、色のつきやすいものを口に入れた後はうがいをすることが大切です。
・半年に1度の頻度で歯科医院やクリニックに行き、メンテナンスを行う。
PMTC(プロフェッショナルメカニカルティースクリーニング)という毎日の磨き残しや、歯ブラシでは磨くことができない歯周ポケット(歯と歯肉の間のみぞ)内を専門的な機械で徹底的にクリーニングする方法も有効です。
歯周病や虫歯のチェックもしてもらえる上、定期的にPMTCを受けることで虫歯になりにくい口腔環境に整えることができます。
・ドラッグストアなどで販売されているヤニ取り専用の歯磨き粉は使用しない。
ヤニ取り専用の歯磨き粉を使いすぎると配合されている研磨剤が歯の表面を削ってしまい、もとに戻らなくなります。
同じくドラッグストアで手に入る「歯の消しゴム」のような商品は毎日使うものではないため使用しても問題ありません。
ただし使いすぎると歯を削ってしまうので、月に1度ぐらいの頻度で使用するのがおすすめです。
お話を伺った有識者
中村 隆志教授
所属:大手前短期大学 歯科衛生学科
学位:歯科医師
研究テーマ:ライフサイエンス、補綴系歯学