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Duolingo、ウクライナ語入門書 日本語版を緊急公開 ウクライナ語の学習者が世界で485%増加

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ウクライナ語の学習者が世界で485%、ポーランドでは1800%増加

Duolingo, Inc. (本社所在地:Pittsburgh, USA, 以下Duolingo)はウクライナ語、ロシア語、およびウクライナと戦争中の言語の使用に関する一般的な質問に答えるために、言語学者による[ウクライナ語入門書]の日本語版を公開しました。ウクライナ語の学習者は世界で485%増加(※)、ポーランドでは1800%増加(※)しています。Duolingoはウクライナ語を勉強している人々からの広告収入をすべてウクライナへの救済に寄付します。

発表内容

  • ウクライナでの戦争開始以来、Duolingoでウクライナ語を勉強している人の数は世界で485%増加(※)
  • ポーランドでは、ウクライナ語の学習者が1800%増加(※)
  • ウクライナ語を学んでいる人々から得た広告収入はすべてウクライナの救援活動に寄付
  • Duolingoが運営するオンライン英語テスト「Duolingo English Test」はウクライナの学生に料金免除して提供し、留学の進学の機会を提供

※2021年3月7日時点

Duolingo「ウクライナ語入門書 日本語版」

ウクライナ語入門書 日本語版

はじめに ウクライナ語入門書公開の理由

ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけとして、SNSの投稿や、ニュース記事、ウクライナ大統領であるウォロディミル・ゼレンスキー氏の演説などを通し、世界中の人々がウクライナ語とロシア語に触れる機会が増えています。Duolingoでは、戦争が開始されてからウクライナ語を学ぶ人の数が485%増加しています。これは、ウクライナやウクライナ国民に対する関心が高まっていることを反映しているだけではなく、団結を示す行動ですらあるのかもしれないと、私たちは考えています。

言語、そしてその言語をどのように使うのかは、個々人のアイデンティティと、コミュニティの持つ政治的および文化的歴史を表すものです。そこで、ウクライナ語とロシア語について、ウクライナで使われている言語やその言語を使う理由について、言語教育に全力を尽くす企業として私たちは手短ながらも概要を説明したいと考えました。

【サマリー】

  • ウクライナ語とロシア語は1,000年以上前に「スラブ祖語」からはじまったいとこ同士の言語
  • ウクライナ人はロシア語とウクライナ語を両方使えるケースが多い
  • 英語では独立の際に「The Ukraina」から「Ukraine」に変更した経緯も
  • ロシア語には「~内で」を示す言葉の単語の使い方で、ウクライナへのスタンスを示すことも
  • ウクライナの首都は今、ロシア語読みの「キエフ」ではなくウクライナ語読みの「キーフ」が浸透

Duolingo「ウクライナ語入門書 日本語版」

1.ウクライナ語とロシア語とは

ウクライナ語はウクライナの公用語です。ウクライナ語はスラヴ語派の言語であるため、ロシア語、チェコ語、ポーランド語などと関係があります。スラヴ語派はとても大きな語派であり、言語的に見ても極めて多様です。そのため、現代のウクライナ語は最も関係の近しいロシア語やベラルーシ語とはいくつか共通点がある一方で、それらよりも遠い関係にある言語(チェコ語など)とでは共通点の数は少なくなります。近隣で使われている他の言語と同じように、ウクライナ語はキリル文字の一種を利用しています。ウクライナ語のキリル文字はロシア語の書記法と多くの文字を共有していますが、ウクライナ語に固有の音を表すための独自の文字もいくつか持っています。
ウクライナ語とロシア語は言語的に互いに異なっていますが、話者にも大きな違いがあります。ほとんどのロシア国民は異なる言語であるウクライナ語を知らなかったり理解できなかったりする一方で、ほとんどのウクライナ国民はロシア語を知っていて、理解することもできるということです。その理由は言語学的なものではなく、政治と歴史が関係しています。ロシア語を使用していたソビエト連邦は70年近くもの間ウクライナを占領していました。そのため、ロシア語はウクライナにおける唯一の公用語でした。政府、学校、会社ではいずれもロシア語のみを使用することを義務付けられていました。そのため、ほとんどの家庭は、家の中ではウクライナ語を使い続けたものの、公共の場において大抵はロシア語を使わなければならなかったのです。結果として、上の世代のウクライナ国民はロシア語を身近な存在としながら成長していきました。また、それより若い世代でも未だに日常生活の中でロシア語に触れる機会があります。

2.ウクライナ語とロシア語の違い

ウクライナ語とロシア語は異なる言語であり、実質的にはいとこ同士のようなものです。1,000年以上前に中央ヨーロッパで話されていた言語があります。現在ではこの言語をスラヴ祖語と呼んでいます。スラヴ祖語は現在使用されているスラヴ語派の言語すべてのルーツです。スラヴ祖語を話していた人々はヨーロッパ中に移住し、散り散りになり、それぞれの場所に定住しながらも、子供たちにはスラヴ祖語を話すよう教えてきました。しかし、彼らがあまりにも広範な範囲に様々なコミュニティを形成した結果、各コミュニティは本来とは少し違ったスラヴ祖語の使い方をするようになりました。そして、時が経つにつれ、その違いはますます大きくなっていき、かつて同じ言語を話していた各コミュニティはやがて、互いに理解し合うことが不可能となってしまいました。このように時間と距離によって言語が枝分かれしていくことで多くの言語が発展していきます。
共通のルーツを持っていることから、ウクライナ語とロシア語には多くの共通点があります。例えば、先ほど説明した格変化の仕組みはロシア語にもあります。ただし、その語尾が異なることも時折あります。ウクライナ語とロシア語にはいずれも3つの性があります。男性、女性、そして中性です。動詞の活用のパターンも互いに似ています。しかし、ロシア語とウクライナ語では動詞と名詞の語尾は異なる場合が多く、ウクライナ語にはあってもロシア語にはない文法的特徴(独自の未来形など)もいくつか存在します。

3.ウクライナ語とロシア語の音と発音

ウクライナ語とロシア語には、各言語の音や、その音が文章でどのように表されるのかにおいても、重要な違いがいくつかあります。例えば、ウクライナの首都の名前を異なる発音で言い表すのを聞いたこともあるかと思います。ロシア語ではウクライナの首都をКиев (Kiev キエフ)と表しています。この単語は、当然ながら、ロシア語の音を使います。(英語話者がマドリードや、イスタンブールや、レイキャビークといった海外の都市の名前を英語の音を使って言うのと同じです。)しかし、ウクライナ語では自国の首都をКиїв (Kyiv キーフ)と表しています。もちろん、ウクライナ語に固有の音を使ってこの名前を発音します。иという文字は英語の"kit"(キット)という単語の"i"の音に似ています。їという文字は"yee"と発音します。それらを組み合わせて、英語では"ki-yeev"という発音になり、"Kyiv"と綴るのです。
ウクライナ語のアルファベットはウクライナ語の音を表すことを目的としているので、ウクライナ語の単語がラテン文字で書かれると、音や区別が失われることが時折あります。そのため、同じウクライナ語の単語や名前がラテン文字では実に様々な表し方を持つ、といったことも時に起こるのです。ウクライナ大統領であるゼレンスキー氏の名前がいい例です。ウクライナ語の主格(文の主語として用いられる場合の格です)では、ゼレンスキーという名前の最後の2文字はи (y)とй (i)となります。英語の"y"と"i"の発音は単語の語尾では同じとなるので、" Zelensky"という表記がよく見られる一方で、"Zelenskyi"や"Zelenskyy"といった表記も見られます。この2つの表記は、ウクライナ語での綴りをより正確に反映したものになっています。ゼレンスキー大統領自身のTwitterアカウントでは3つ目の表記を採用しています。

4.ウクライナ戦争と言語の関係

言語的な差異はより微妙なものであるかもしれません。例えば、かつて英語では、現在のようにただ"Ukraine"と言うのではなく、"the Ukraine"と言い表すのが一般的でした。この変化はささいなものに見えるかもしれませんが、その裏には複雑な歴史(そしてたくさんの政治的な意味)があるのです。"the"を用いると、ウクライナがひとつの地域であり、それよりも大きな全体、すなわち別の国の一部であるかのような印象を与えます。アメリカ英語でもthe Midwest of the U.S.(アメリカ中西部)やthe South of the U.S.(アメリカ南部)という風に各地域を言い表す際に同じことをしています。しかし、1991年にウクライナがソビエト連邦から独立を宣言すると、ウクライナ政府は"the"を英語の出版物で使わないように求めるという声明も出しました。現在、単なる"Ukraine"という表記が使われているのも、このようにウクライナが独立した国であることを示すためなのです。

ウクライナ語とロシア語でもこれと似たようなことが起こります。ロシア語では"in"(~内で)という意味になる単語が2つあります。в (v)とна (na)です。この2つの単語の本質的な違いは、どのような単語と組み合わされるかにあります。вは都市や建物など、認識された境界線のある場所に使われます。наは野原や従属する地域など、境界線を持たない領域に使われます。例えば、ロシアやアメリカやイギリスなどにはвを使いますが、西部や南部といった地域にはнаを使います。歴史的に見ても、「ウクライナ内で」と言う時にはнаが用いられてきました。この前置詞を用いることで、ウクライナは独立した国ではないということを暗に示唆していたのです。しかし、最近では、ウクライナにもна ではなくвを使おうという運動が起こっています。この運動以降、話者がどちらの前置詞を用いるかが、どちらの国を政治的に支持しているかを表すサインとなったのです。
ロシア語で"Ukrainian"(ウクライナ語、ウクライナ人)を意味する単語の発音も政治的になり得ます。話者が単語のどの部分に強勢を置く(強調する)かによって、辺境の地、すなわち、より広範な領域の端にある地域といった意味に聞こえたり、全く別の単語のように発音することで、ウクライナの主権を強調するようにも聞こえたりもするのです。ウクライナはロシアの一部であると示唆したいロシア語話者は、ロシア語のукраинский (Ukrainskiy)という単語の"a"を強調することによって、ウクライナが辺境の地であるかのような印象を強めるでしょう。ウクライナの主権を支持するウクライナ国民とロシア国民はукраинский (Ukrayinskiy)の"yi"を強調して"Ukrainian"という単語を発音するでしょう。

最後に ウクライナ国民と共に

Duolingoで働く私たちは言語のことを、そして、言語がいかに政治的になり得るのかを知っています。そして私たちはその言語の背後にいる人々のことを常に一番大事に考えています。あなたがウクライナ語やその他のスラヴ語派の言語を話せるのであれば、国境なき翻訳者団と共にボランティアを行うことでウクライナ国民を支援することができます。もしお金を寄付することができるのなら、 UNICEF USA が困窮している子供たちを支援しており、ウクライナの子供たちを助けるための努力を全力で行っています。

Duolingoで利用可能な言語についてより詳しく知るためにも、今日から、ウクライナ語、ロシア語、チェコ語、ポーランド語の学習を始めることができます。

▼英語の全文はこちらから。
https://blog.duolingo.com/ukraine-language/

Duolingoとは

Duolingoは、世界中の誰もが楽しくアクセスできるように設計された無料のオンライン学習プラットフォーム。科学的に証明されたひとくちサイズのレッスンで、英語だけでなく、中国語、スペイン語、フランス語など、40言語で103コースを提供しています。日本版では英語、中国語、韓国語、フランス語の4言語を提供しており、今後学習可能な言語数を増やしていく予定です。

ユーザー数は5億人以上、世界で最も人気のある語学アプリです。学習者同士で競い合う、ポイントを獲得してレベルアップなど、ゲーム感覚で学習できるように設計されています。また、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキング練習すべてを含む1セットを5分程度で受講できるため、外出先や忙しい人でも気軽に継続できる設計になっています。さらに、Duolingo English Testを開発し、世界で3000以上の大学で受け入れられている言語資格の認定オプションを、学習者が手ごろで便利に受験できる方法で提供しています。
Duolingo Official Website:https://ja.duolingo.com/info

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